痛み。Side G
先生の痛みを、俺は知らなかった。
先生が仮面ライダーゾルダとして戦っている事は知っていても、
その戦いの痛みを。
先生が治る見込みのない病気を持っている事は知っていても、
その苦しさを。
俺と先生は別々の人間なのだから、当たり前の事だけれど。
人の痛みを知る事は出来ないのだから、当然の事だけれど。
それでも、先生の痛みを知らない自分自身が不甲斐なくて、悔しい。
あんなに先生と一緒にいるのに、痛みの片鱗にも気付かない自分が悔しい。
先生は痛みを持たない人だ、
と自分でも解らない内に思い込んでいたんだろう。
痛みを持たない人間なんている筈ないのに。
いつも強くいる先生。
でも、強いからと言って傷付かない事はない。
寧ろ強い方が余計に傷付いているのかもしれない。
その傷を和らげる事は出来ないだろうか。
今更かもしれないけれど。せめて、今から。
俺が先生に返せるモノとして。
俺が先生に伝えられる想いとして。
普通なら見られない先生の姿を見てしまったから。
普段は見られない先生の痛みを見てしまったから。
見知らぬ振りは出来ない。知らないとは言えない。
そう、今からでも何か先生の助けになる事を、
俺が出来る事で何か助けになる物を捜そう。
俺に、何が出来る?
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事務所に帰って、精のつく料理でも作ろう。
そして笑顔で先生を迎えよう。
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吾郎ちゃんが北岡氏の戦っている姿を見た記念。
取り敢えず吾郎ちゃんは北岡先生が好きであるという妄想たっぷりな作品。
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